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竜二「どうだい? 現ナマの感触は?」
金田「懐かしい……この手触り……」
竜二「やっぱり、お祝いは現ナマだろう」

亜希子も、顔を近づけソッと匂いを嗅ぐ。

亜希子「ああ……お金の匂い」
金田「それに、なんだか有り難みを感じますね」
竜二「なっ」

嬉しそうな、竜二。(3人、なぜか大笑い)

亜希子の声「しかし……」
16 商店街・通り

 
ドン。歩いてきた会社員にぶつかる、竜二。
亜希子の声「翌日、兄は逮捕された」

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ガチャ。商店街の真ん中で突然刑事に手錠をかけられる、竜二。

竜二「あっ……」
刑事「スリの現行犯で逮捕する」

会社員、驚く。
竜二の手には、会社員の電子マネーがあった。

亜希子の声「現金の逆スリをするために、電子マネーを盗もうと したところを、捕まってしまったのです」
17商店街・八百屋

 
主婦A、大根を選んでいる。

亜希子の声「兄のしたことは、決して無駄ではありませんでした……」
主婦A「コレちょうだい」
店員「はい、らっしゃい」
主婦A「あと、コレとコレね」

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店員「はいはい。えーっと、全部で831円だね」
主婦A「じゃ、これで(と電子マネーを出す)」
店員「え?」

そこへ、お腹の大きな亜希子が登場。

亜希子「すいません、コレとコレとコレ」
店員「はい、らっしゃい。えーっと、こちらは全部で726円ね」
亜希子「はい(と千円札を出す)」
店員「はい、千円ね(と受け取り)274円のお返し(と釣り銭を渡す)」

亜希子、釣り銭を財布に入れる。

亜希子の声「兄が毎日現金をバラまいたおかげで、人々は次第に電子マネーの味気なさに気がついたのでした」
店員「やっぱり、お金は現金だね」
亜希子「うん、小銭はジャラジャラ重くないとね」
店員「ときどきお釣りを間違えちゃうこともあるけゼさ、その方がお金の大切さが身に沁みるんだよ。(主婦Aに)お客さんも早く現金にしなさいよ。いつまでもそんなカッ

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 コ悪いもん使ってんの?」
主婦A「…・・・」
亜希子「じゃ」
店員「毎度あり」
亜希子、元気良く歩きだす。

亜希子の声「兄がいなくなった代わりに、世の中には現金が戻って来ました。しっかりした重みがあって、有り難みがある、お金が……」

その姿に、洋館の少女の声が先行して---、

少女の声「そんなことばかりあって、やがて電子マネーを使うことをやめたのよ」
洋館・少女の部屋

 
妹に話をしていた、少女。

少女「……わかった?」

が、妹はすでに眠っていた。

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少女「眠っちゃったのか……」

少女、妹の布団を直してあげる。

少女「さ、宿題やんなくっちゃ」
エンディング・タイトル(森の中)

Na「西暦2100年、私たち人類は現代よりもはるかに古め かしい暮らしを送っている。この百年の間人類が生んだ 新たな技術は、未来を明るくしてくれるものではなかっ たのである」
 〔第6話・完〕

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