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竜二と向かい合うように、亜希子と金田が並んでい
る。ニコニコしている、金田。

金田「お兄さん、どうも初めまして」
竜二「どうも……」
亜希子「こちら、金田さん。取り込み詐欺やってるの」
竜二「へえ。(亜希子に)恋人?」
亜希子「(頷き)婚約者なの」
竜二「(驚いて)そうか……。おめでとう(と二人の顔を交互に見る)」
亜希子「お兄ちゃんがいない間、あたし彼の取り込み詐欺を手伝ってて……」
竜二「そうか。(金田に)妹がお世話になりました」
金田「いえいえ、そんな。あっ(と、亜希子の手に電子マネー を見つけて)亜希子ちゃん、電子マネーにしたの?」
亜希子「うん。お兄ちゃんがスッてくれて」
金田「そう、良かったね。いつまでも現金じゃ不便だもんね。 (竜二の電子マネーも見つけ)あ、お兄さんも」

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竜二「ええ。使い方がまだ良くわからないんだけどね」
金田「そりゃそうでしょう。5年も塀の中じゃ、こんな物初めて見るでしょうから。僕は新し物好きなんで、2年前から使ってます。(と自分の電子マネーを見せ)あ、そう だ。こういう場合、どうすればいいんだろ?」
亜希子「何が?」
金田「出所祝いっていうの? いくらか出すもんなんじゃないのかな?」
亜希子「出所祝い?」
竜二「いいよ、そんな」
金田「そうはいきません。これから僕のお兄さんになるって人なんですから。どうです、お兄さん。3万ぐらいってことで……」
竜二「いや、本当にいいから」
金田「まあ、そうおっしゃらずに」

金田、両側に吸盤のついたケーブルを出し、自分の
電子マネーと竜二の電子マネーに接続する。

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竜二「……?」(のぞきこむ)

金田、テンキーをいくつか押し、

金田「(あっさりと)ご出所、おめでとうございます」

見ると、竜二の電子マネーが「65204」に。

竜二「あっ。増えた」
金田「電子マネーが便利なのは、こうやって自在にお金のやり とりが出来ることなんですよ」
竜二「すごいな。なくなったら、どうすれぼいいんだ?」
亜希子「銀行の口座から電話回線で補充するの」
竜二「ふーん」
金田「どうです? 便利でしょ?」
竜二「……」
亜希子「ねっ」
竜二「…そういえば、おまえたち婚約したんだよな」
亜希子「そうよ」
竜二「じゃぁ、兄としては婚約祝いをあげなくちゃ」
金田「(あっさりと)そうですか? すいません」

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竜二「(のりだし)こっちからそっちへ、お祝いを送りたいんだけど」
金田「(のりだし)いくら移します?」
竜二「どうだろう? とりあえず3万ってことで」
金田「わかりました」

テンキーを押す、金田。ピピピッ。
竜二、表示を見る。

竜二「あ、へった」

また「35204」に戻っている。

金田「(軽く)すいませんね、お兄さん」
竜二「いや、気にすんなよ」
亜希子「(軽く)ありがとう、お兄ちゃん」
竜二「……」

5 同・玄関

 
金田を見送る、竜二と亜希子。
金田「じゃ、また後日改めて」
竜二「ああ、今後ともよろしく」

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