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竜二の声「……その後も、俺たちの仕事は本当にうまくいった」
11 商店街

 
主婦Aに道を聞いている、亜希子。
竜二がぶつかる。

竜二の声「しかし、なぜか俺は虚しかった」

竜二が、主婦Aの買い物籠からすばやく電子マネー
を抜き取る、その手元。スローモーションで。

竜二の声「芸術的とも言える手さばきでサッと財布を抜き取り」
12 兄妹の家・居間

 
盗んだ電子マネーの金額をじっと見ている、竜二。

竜二の声「…抜き取った財布の金を数える瞬間の、なんともいえぬ快感……」

その横で、亜希子は電子マネーから電子マネーへ、

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セッセとお金を移動している、亜希子。

竜二の声「それが、この電子マネーではまったく感じられなかった」
亜希子「(電子マネーを見せ、嬉しそうに)見て、お兄ちゃん。こ んなにたまったわ」

竜二の電子マネー、「20,150,702円」にも達している。

竜二「……」
亜希子「2千万円突破よ」

竜二、その電子マネーを手で払いのげる。バシッ。

亜希子「あっ」
竜二「……」
亜希子「何すんのよ」
竜二「おい、亜希子。金は?」
亜希子「あるわよ、ここに(と電子マネーを見せる)」
竜二「そんな物は金じゃない!! ただの数字だ」
亜希子「え?」

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竜二「現ナマだ。現ナマはないのか?」
亜希子「現金?……えーっと現金なんてあったかしら」

亜希子、立ち上がって仏壇へ。

亜希子「ちょっとならあるわ」

仏壇の引出しから、現金を出そうとする亜希子。

竜二「かせ!!(と、それを奪う)」

それは1万円札や千円札の、10万円ほどの金。
竜二、ものすごいスピードで(銀行員のような手さばきで)その金を数える。

竜二「おおっ、カネだ。カネだあー!!」
亜希子「お兄ちゃん……」

竜二、札を顔に張りつけ、スーハースーハーと息を吸い込む。

竜二「この匂い……!! カネの…カネの匂いだー!!」

狂ったように、現金で顔をゴシゴシとする、竜二。
亜希子、その姿を呆然と見ている。

亜希子「……」

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CM

13 兄妹の家・縁側

 
金田と、亜希子が縁側に座っている。
金田「じゃあ、お兄さんはその電子マネーを?」
亜希子「そう。いくら止めてもダメ。毎日銀行で現金に換えて、 出掛げていくの」
14 商店街・通り

 
ドン。会社員にぶつかる竜二。

竜二「おっと、失礼」
会社員「いえ」

竜二、立ち去る。
会社員も歩き出す。が、立ち止まって、

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