| 竜二の声 | 「……その後も、俺たちの仕事は本当にうまくいった」 |
| 竜二の声 | 「しかし、なぜか俺は虚しかった」 |
| 竜二の声 | 「芸術的とも言える手さばきでサッと財布を抜き取り」 |
| 竜二の声 | 「…抜き取った財布の金を数える瞬間の、なんともいえぬ快感……」 |
| 竜二の声 | 「それが、この電子マネーではまったく感じられなかった」 |
| 亜希子 | 「(電子マネーを見せ、嬉しそうに)見て、お兄ちゃん。こ んなにたまったわ」 |
| 竜二 | 「……」 |
| 亜希子 | 「2千万円突破よ」 |
| 亜希子 | 「あっ」 |
| 竜二 | 「……」 |
| 亜希子 | 「何すんのよ」 |
| 竜二 | 「おい、亜希子。金は?」 |
| 亜希子 | 「あるわよ、ここに(と電子マネーを見せる)」 |
| 竜二 | 「そんな物は金じゃない!! ただの数字だ」 |
| 亜希子 | 「え?」 |
| 竜二 | 「現ナマだ。現ナマはないのか?」 |
| 亜希子 | 「現金?……えーっと現金なんてあったかしら」 |
| 亜希子 | 「ちょっとならあるわ」 |
| 竜二 | 「かせ!!(と、それを奪う)」 |
| 竜二 | 「おおっ、カネだ。カネだあー!!」 |
| 亜希子 | 「お兄ちゃん……」 |
| 竜二 | 「この匂い……!! カネの…カネの匂いだー!!」 |
| 亜希子 | 「……」 |
| 金田 | 「じゃあ、お兄さんはその電子マネーを?」 | 亜希子 | 「そう。いくら止めてもダメ。毎日銀行で現金に換えて、
出掛げていくの」 | |
| 竜二 | 「おっと、失礼」 |
| 会社員 | 「いえ」 |