| 妹 | 「便利だね。電子マネー」 |
| 少女 | 「それがそうでもなかったのよ」 |
| 妹 | 「どうして?」 |
| 少女 | 「お金っていうものは目に見えないと味気ないものなの」 |
| 妹 | 「ふーん」 |
| 少女 | 「そして目に見えないとありがたみがないものなのよ」 |
| 妹 | 「よくわかんない」 |
| 少女 | 「じゃ、お話してあげる。電子マネーは、ついにお金のかわりとして広く使われるようになりました」 |
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| 竜二 | 「……(外の空気を吸い込む)」 | |
| ダイヤ | 「何年……だったかしら?」 | 竜二 | 「5年です」 | ルビー | 「長かったわね(と、煙草を出す)」 | 竜二 | 「(それを受け取って)すんません」 | ダイヤ | 「(煙草に火をつけてやり)もう、こんなところに戻ってきちゃダメ」 | ルビー | 「これからは心を入れ替えて生きて行かないとね」 | 竜二 | 「どうもお世話になりました」 | ダイヤ | 「……あの人、どうして5年も?」 | ルビー | 「スリの常習犯だったんだって」 | ダイヤ | 「まあ、スリ?」 | ルビー | 「そう、スリ」 | ダイヤ | 「(ポケットに手をやり)あらっ?」 | |
| ルビー | 「(ポケットに手をやり)あららっ?」 |
| ダイヤ・ルビー | 「やられたっ」 |
| 竜二の声 | 「……そう俺は、スリだ」 |
| 竜二の声 | 「芸術的とも言える手さばきで、他人の懐からサッと財布を抜き取る。そして、抜き取った財布の中の金をすばやく数える」 |
| 竜二の声 | 「この瞬間の、なんともいえない快感。その一瞬のために俺はスリがやめられ……あ?」 |
| 竜二 | 「……?(財布の中を見て、驚く)」 |
| 竜二 | 「何だ、これは」 |
| 竜二 | 「亜希子……」 |
| 亜希子 | 「おかえりなさい」 |
| 竜二 | 「しばらくだったな」 |
| 亜希子 | 「うん」 |
| 竜二 | 「なあ亜希子、これ何だ?(と電子マネーを見せる)」 |
| 亜子 | 「まあ、電子マネー」 |
| 竜二 | 「電子マネー?」 |
| 亜希子 | 「お金よ。お兄ちゃんが塀の中にいる間に、普及したの」 |
| 竜二 | 「金? これが?」 |
| 亜希子 | 「いま世の中では、それがお金なの」 |
| 竜二 | 「そうなのか……」 |
| 亜希子 | 「どうしたの? それ」 |
| 竜二 | 「刑務所の看守の懐から頂いた」 |