Top
<<>>
1・2・345678


 
ベッドにいる、二人。

「便利だね。電子マネー」
少女「それがそうでもなかったのよ」
「どうして?」
少女「お金っていうものは目に見えないと味気ないものなの」
「ふーん」
少女「そして目に見えないとありがたみがないものなのよ」
「よくわかんない」
少女「じゃ、お話してあげる。電子マネーは、ついにお金のかわりとして広く使われるようになりました」

2 刑務所・門

 
刑務所の門の前……。
テロップで、「once upon a time(A.D.2020)」。
刑務所から、竜二が出所してくる。

竜二「……(外の空気を吸い込む)」


5


 
今回は監視役の、オナペッツ。
ダイヤ「何年……だったかしら?」
竜二「5年です」
ルビー「長かったわね(と、煙草を出す)」
竜二「(それを受け取って)すんません」
ダイヤ「(煙草に火をつけてやり)もう、こんなところに戻ってきちゃダメ」
ルビー「これからは心を入れ替えて生きて行かないとね」

煙をゆっくりと吐き出す、竜二。

竜二「どうもお世話になりました」

竜二、深々と頭を下げ、歩き始める。
その姿を見送る・オナペ一ツの二人。

ダイヤ「……あの人、どうして5年も?」
ルビー「スリの常習犯だったんだって」
ダイヤ「まあ、スリ?」
ルビー「そう、スリ」
ダイヤ「(ポケットに手をやり)あらっ?」


6


ルビー「(ポケットに手をやり)あららっ?」
ダイヤ・ルビー「やられたっ」
竜二の声「……そう俺は、スリだ」

3 道

 
刑務所近くの道。竜二が歩いている。

竜二の声「芸術的とも言える手さばきで、他人の懐からサッと財布を抜き取る。そして、抜き取った財布の中の金をすばやく数える」

竜二、立ち止まって、ポケットから財布を出す。

竜二の声「この瞬間の、なんともいえない快感。その一瞬のために俺はスリがやめられ……あ?」
竜二「……?(財布の中を見て、驚く)」

そこには、現金はなく、電子マネーが一枚入っている。

竜二「何だ、これは」


7


 
財布捨て、もうひとつの財布も見る。
が、やはりそこには、電子マネーがあるだけ。
その時、「お兄ちゃん」という呼び声が聞こえる。
見上げると、亜希子が立っている。

竜二「亜希子……」
亜希子「おかえりなさい」
竜二「しばらくだったな」
亜希子「うん」
竜二「なあ亜希子、これ何だ?(と電子マネーを見せる)」
亜子「まあ、電子マネー」
竜二「電子マネー?」
亜希子「お金よ。お兄ちゃんが塀の中にいる間に、普及したの」
竜二「金? これが?」
亜希子「いま世の中では、それがお金なの」
竜二「そうなのか……」
亜希子「どうしたの? それ」
竜二「刑務所の看守の懐から頂いた」


8


<<>>
1・2・345678