| 患者 | えっ? |
| 医者 | やっほーっ、お待たせっ。 |
| 陽子 | せ、先生……。(と、駆け寄る) |
| 医者 | ママと彼氏から電話だったよ。(陽子の手を握り)二人とも、僕に賛成だって。 |
| 陽子 | (目を輝かせ)えっ? それじゃ…… |
| 医者 | でやーっ!! |
| 患者 | ぐ……ッ。 |
| 医者 | (患者の上で)どう? |
| 患者 | くっ……苦し……いっ。 |
| 医者 | 苦しい? おかしいな(とグリグリ動く) |
| 患者 | お、重い……んです先生が……。 |
| 医者 | (グリグリしながら)クロ山くん、ちょっと心拍数計ってくれる? |
| 陽子 | あ、ハイ(と、来る) |
| 医者 | どうかな?(と、患者の上でドンドン跳ねる) |
| 患者 | ああっ。せ、先生……ぐっ。 |
| 陽子 | (心拍計を見て)かなり危険な状態ですわ。 |
| 医者 | やっぱり?(と、ドスンドスン) |
| 患者 | あああっ。や……やっぱりって……。 |
| 医者 | コレじゃ、かなりかかるぞ。時間も治療費も。 |
| 患者 | こ、困り……ます……仕事も休んでて……お金も全然……。 |
| 医者 | (厳しい口調で)一度しか言わないから、よく聞きなさい!! |
| 患者 | はいっ。 |
| 医者 | キミのクローンを作る。そしてキミが入院してる間、代わりに働かせるんだ。 |
| 患者 | ……は? |
| 陽子 | それは名案ですね、先生。 |
| 患者 | ちょ……ちょっと待って…… |
| 医者 | ガタガタ言うんじゃねえ!! 金なら心配すんな、タダにしてやっから。 |
| 陽子 | いいんですか?先生。 |
| 医者 | (陽子に)実はさー、クローン作るのも今度でちょうど七七七番目なんだ。(患者に |
| も優しく)ラッキーだったねキミ。大当たりだよ。 |
| 患者 | ホ……ホントですか? ホントにいいんですか? |
| 医者 | ああ。(顔をグッと近づけ)その代わり、頼みがある。 |
| 陽子 | (も、顔を近づけて)簡単だと思いますよ、きっと。一回経験済みのことだし。 |
| 患者 | (怖くて)……な、何ですか?いったい。 |
| 医者 | 横断歩道で、もう一度撥ねてくれないかな? あの女子高生を。 |
| 陽子 | この顔ね、この顔。でもダメよ、今慶はブレーキなんか踏んじゃ。 |
| 患者 | ……。 |
| 〔第五話・完〕 |