| 患者 | えっ? |
| 患者 | あ、先生。……やだなあ。困らないですよ、退院が早くてホッとしてます。 |
| 医者 | (陽子を遠ざけて)クロ山くん、キミもう少し離れて。伝染すると困るから。 |
| 患者 | 伝染? あ、あの……外傷だけじゃないんスか? |
| 医者 | バイ菌とかさ、医学はいろいろあるんだよ専門的なコトが(と、患者の腕をつかむ) |
| 患者 | す、すいません。(腕を動かされ)あっ……ソコ痛いです、先生。 |
| 医者 | トラックの運転手だっけ? ダメだなーキミ、運転には気をつけないと!! |
| 患者 | たたたー、痛っ。 |
| 医者 | あれ? おかしいな。キミさ、ココ折れてない? |
| 陽子 | (遠くから)あの、先生……。 |
| 医者 | ん? |
| 医者 | (優しく)何だい? どうした? |
| 陽子 | ……あたし、先生のお力になってるんでしょうか? |
| 医者 | 何言ってるんだクロ山くん。なってるよ。すごくなってる。素晴らしいよキミ。 |
| 陽子 | (目をみつめ)あたし……可愛いですか? |
| 医者 | ンもう可愛いっ。すっごく可愛い。可愛いっ(と、興奮し、迫る) |
| 陽子 | (が、制して)で……どうして月々のお手当てを貰ってるのは、本物なの? |
| 医者 | えっ? ……あイヤ、それはその…… |
| 陽子 | いくらなんでも、ひどいと思いません? |
| 医者 | ……そう言われてみれば、そうだね。 |
| 陽子 | ねえ、ママ。どうしたらいい? |
| 佐知子 | えーっと……(と悩む) |
| 陽子 | ねえ、武くん。どうしたらいいの? |
| 武 | うーん……(と考え込む) |
| 医者に詰め寄る、陽子のクローン。 | |
| 陽子 | ねえ、先生。どうしたらいいと思います? |
| 医者 | アレだな。アレ……しかないかな。 |
| 陽子 | アレ? 何ですアレって? |
| 医者 | 電話が鳴ってる……。大丈夫、すぐ戻るから(と出ていく) |
| 佐知子 | あっもしもし? 陽子の母でございます。実はですね先生…… |
| 医者の声 | (電話から)ちょっと待ってもらえますか? キャッチホンが入ってます。 |
| 医者の声 | (電話から)はい。もしもし? |
| 武 | あ、先生? オレ武っていうんだ。実は相談が……。 |
| 患者 | 看護婦さんの顔……どっかで見たことあるなー。 |
| 陽子 | (骨折した腕に、包帯を巻きながら)横断歩道じゃないですか? |
| 患者 | 横断歩道? どこの? |
| 陽子 | (答えず、患者の腕を見て)これじゃ三ヵ月ぐらいかかりそうですね。 |
| 患者 | 退院延びるんですか? |
| 陽子 | 今後次第です。治療によっては…… |
| 医者の声 | (ドアの向こうから)もっと延びたりしてね。 |