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バーン!! ……銃声とともに、桃子倒れる。撃たれた胸から血を吹き出し、
桃子Hぎゃあーッ!!
倒れた桃子Hに、本物の宗一郎が駆け寄り、
宗一郎そんなことしないよ。
桃子H(血を吹き出しながらも)ホ……ホント?
宗一郎ホントさ。
桃子Hじゃ、なに? 覚悟って……まさか……?
その時、またもや思考ホログラフィーが、眩しい光線を投げつける。
気配に振り返ると、今度は包丁を持った宗一郎Hが立っていて、
宗一郎Hそうだよ、コレが俺の覚悟だよ!!(と、包丁を振りかざす)
桃子Hい……いやーっ
宗一郎H死ねーっ
グサッ。桃子Hの腹部を突き刺し、返り血を浴びる、宗一郎H。
桃子Hぎゃあっ!!一
さらに、宗一郎Hは何度も何度も桃子を突き刺す。
宗一郎H(返り血ビショビショで)死ねっ、死ねっ、死ねーッ!!
桃子H(グサッ)ぐっ!!(グサッ)ぐふえっ!!(グサッ)ぐわぉ!!


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全身、血だらけになる、桃子H。そこへ本物の宗一郎が、
宗一郎(優しく)そんなこと、しないって。
桃子H(虫の息で)ホ…ホン……トに?
宗一郎ああ、ホントさ。
桃子Hよ……良かった……。あらっ?
気がつくと、腹部の傷は、きれいに直っていて、血も流れていない。
立体映像の宗一郎Hも、どこにもいない。
桃子H(立ち上がり)……はあ……(と、ホッと安心)
宗一郎だからさ、桃子ちゃん。ちゃんと答えてくれよ。
桃子Hなにを?
宗一郎つまり、キミは僕のことを愛してなんかいなかった。……そうなのか?
桃子Hうん。ごめんね、実はそうなの。(と、アッサリ)
宗一郎や……やっぱりそうなのか……、
桃子Hあんまりタイプじゃないの。
宗一郎そうか……。タイプじゃないのか。
桃子H早いし。
宗一郎そうか早いんだやっぱり早いんだ僕は……(と、ブツブツ)


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桃子Hごめんね、正直で。だってほら、「思考スキャナー」だから。
宗一郎いいんだよ。ハッキリ言ってもらったら、ちょっとスッキリした。
桃子Hごめんなさい。
宗一郎、自分で自分を元気づけるようにニコッと笑い、一
宗一郎ねえ、あの時のこと……覚えてるかい? 二人で初めてデートした日のこと。一緒に
映画を観に行ったじゃないか。
桃子H古い……フランスの映画だったっけ?
宗一郎そう。僕もキミも夫好きな映画じゃないか。クロード・ルルーシュの、「男と女」。
桃子Hああ……そうね。
宗一郎(思い出すように、目を閉じて)……。
桃子H(思い出すように、目を閉じて)……。
この時なぜか、光線は放たれず---突然、部屋が真っ暗になる。
一瞬の静寂が訪れ---やがて、部屋の中は、
カタカタ……という映写音と共に、映画が上映されているよう
映画館独特の椅子に、一年前の桃子Hが座っている。
隣の宗一郎Hと、仲良くスクリーンを見つめているが、
桃子Hそれ……どんな映画?


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椅子に座った二人の前には、本物の宗一郎がいて、
宗一郎な、なんでだよ? この映画、今まで観た中で一番好き、って言ってたのに……。
桃子Hそう言ったらあなたが喜ぶかな? と思って言ったの。
宗一郎じゃ……つまんなかったの?「男と女」
桃子Hそうじゃないの。……あの時は、映画には集中できなかったの。観てる最中、あなた
のことがずっと気になって……
宗一郎(嬉しそうに)そうか、ドキドキしてたんだね?
桃子Hううん。スピスピしてたの。
宗一郎……スピスピ?
桃子H鼻息がね、スピー、スピーって鳴ってたの。
宗一郎……え?
桃子Hコレってきっと……ハナクソのカケラがつまってるんじゃないかしら?
隣でスクリーンに集中している宗一郎H。
映画に感動し目をウルウルさせているが、鼻からはスピー、スピー、と笛のよ
うな音が小さく鳴っている。
宗一郎(音聞いて)あ……ホントだ。
桃子Hあなたの呼吸のリズムに合わせて、映画観てる聞中ずーっと、スピー、スピーって鼻


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