| 桃子H | ぎゃあーッ!! |
| 宗一郎 | そんなことしないよ。 |
| 桃子H | (血を吹き出しながらも)ホ……ホント? |
| 宗一郎 | ホントさ。 |
| 桃子H | じゃ、なに? 覚悟って……まさか……? |
| 宗一郎H | そうだよ、コレが俺の覚悟だよ!!(と、包丁を振りかざす) |
| 桃子H | い……いやーっ |
| 宗一郎H | 死ねーっ |
| 桃子H | ぎゃあっ!!一 |
| 宗一郎H | (返り血ビショビショで)死ねっ、死ねっ、死ねーッ!! |
| 桃子H | (グサッ)ぐっ!!(グサッ)ぐふえっ!!(グサッ)ぐわぉ!! |
| 宗一郎 | (優しく)そんなこと、しないって。 |
| 桃子H | (虫の息で)ホ…ホン……トに? |
| 宗一郎 | ああ、ホントさ。 |
| 桃子H | よ……良かった……。あらっ? |
| 桃子H | (立ち上がり)……はあ……(と、ホッと安心) |
| 宗一郎 | だからさ、桃子ちゃん。ちゃんと答えてくれよ。 |
| 桃子H | なにを? |
| 宗一郎 | つまり、キミは僕のことを愛してなんかいなかった。……そうなのか? |
| 桃子H | うん。ごめんね、実はそうなの。(と、アッサリ) |
| 宗一郎 | や……やっぱりそうなのか……、 |
| 桃子H | あんまりタイプじゃないの。 |
| 宗一郎 | そうか……。タイプじゃないのか。 |
| 桃子H | 早いし。 |
| 宗一郎 | そうか早いんだやっぱり早いんだ僕は……(と、ブツブツ) |
| 桃子H | ごめんね、正直で。だってほら、「思考スキャナー」だから。 |
| 宗一郎 | いいんだよ。ハッキリ言ってもらったら、ちょっとスッキリした。 |
| 桃子H | ごめんなさい。 |
| 宗一郎 | ねえ、あの時のこと……覚えてるかい? 二人で初めてデートした日のこと。一緒に |
| 映画を観に行ったじゃないか。 | |
| 桃子H | 古い……フランスの映画だったっけ? |
| 宗一郎 | そう。僕もキミも夫好きな映画じゃないか。クロード・ルルーシュの、「男と女」。 |
| 桃子H | ああ……そうね。 |
| 宗一郎 | (思い出すように、目を閉じて)……。 |
| 桃子H | (思い出すように、目を閉じて)……。 |
| 桃子H | それ……どんな映画? |
| 宗一郎 | な、なんでだよ? この映画、今まで観た中で一番好き、って言ってたのに……。 |
| 桃子H | そう言ったらあなたが喜ぶかな? と思って言ったの。 |
| 宗一郎 | じゃ……つまんなかったの?「男と女」 |
| 桃子H | そうじゃないの。……あの時は、映画には集中できなかったの。観てる最中、あなた |
| のことがずっと気になって…… | |
| 宗一郎 | (嬉しそうに)そうか、ドキドキしてたんだね? |
| 桃子H | ううん。スピスピしてたの。 |
| 宗一郎 | ……スピスピ? |
| 桃子H | 鼻息がね、スピー、スピーって鳴ってたの。 |
| 宗一郎 | ……え? |
| 桃子H | コレってきっと……ハナクソのカケラがつまってるんじゃないかしら? |
| 宗一郎 | (音聞いて)あ……ホントだ。 |
| 桃子H | あなたの呼吸のリズムに合わせて、映画観てる聞中ずーっと、スピー、スピーって鼻 |