| 女刑事 | そう……。どうしてもシラを切る気ね? |
| 容疑者 | 知らねえもんは、知らねえな。さっきからそう言ってるだろ? |
| 鑑識係 | 例の装置を持って参りました。 |
| 女刑事 | ご苦労さま。 |
| 容疑者 | (横目でチラッと見て)何だよ、それ?(少し不安) |
| 容疑者 | や……やめろっ……! |
| 鑑識係 | ハイ、動かない動かない。(と、バチッと顔の前で留める) |
| 容疑者 | (仮面の中で)て……てめえら何する気だ? |
| 女刑事 | それはね、「思考スキャナー」っていう最新のウソ発見器よ。思考--つまり頭の中 |
| で考えたことを調べる機械なの。その仮面が、あなたの脳の変化を、読み取るわけ。 | |
| 容疑者 | (仮面の中で)脳を……読み取る? |
| 鑑識係 | そのデータをこの「思考ホログラフィー」に送れば、君が頭の中で考えていることが |
| 全部、立体映像になるんだ。 | |
| 容疑者 | (仮面の中で)立体映像? ケッ、ふざけんな。 |
| ※以降、立体映像として登場する人物は、本物と区別する | |
| ために、ホログラフィーの頭文字「H」を加えて表記。 |
| 容疑者H | (ボーッとして)……? |
| 女刑事 | (見て)……出たわ。 |
| 鑑識係 | フフフ、出ましたね。 |
| 容疑者 | ……? |
| 容疑者H | ワケわかんないな……。税金で変な機械買うなよ、おまえら。 |
| 女刑事 | 税金も払ってないヤツに、言われたくないわよ。 |
| 容疑者 | (仮面の中で)あイタッ……。すまん、実はもう半年も住民税滞納してて……え? |
| 容疑者H | ……あ。頭ン中で考えたことが……どうしてわかったんだ? |
| 女刑事 | 言ったでしょ? 読み取るって。あなたの思考が、口をすべらせてるのよ。 |
| 容疑者 | (仮面の中で)嘘つけ!! 俺にはちっとも、聞こえないぞ!! |
| 鑑識係 | 思考スキャナーをつけた本人には、立体映像の音声は聞こえないようになっている。 |
| 聞こえると自分の思考をコントロールしちゃうからね。 | |
| 容疑者 | (仮面の中で)けっ……騙されねえぞ、そんな脅しには。 |
| 容疑者H | 本当か……? いや、まさかな……。もしホントだとしたら全部バレちまう……。 |
| 女刑事 | さーて、もう一度聞くわよ。あの女を殺したのは、あなたね? |
| 容疑者 | (仮面の中で)あの女? あの女って誰だ?。知らねえなあ。 |
| 容疑者H | あの女っていえぱ、この女のことだろ? |
| 被害者の女H | ……? (ポーッとしている) |
| 女刑事 | で……凶器は? |
| 容疑者 | (仮面の中で)……凶器? さあ、なんの話だろうな、知らねえな。 |
| 容疑者H | これのことだろう? 凶器って。 |
| 女刑事 | ……どうやったの? どうやって殺したの? |
| 容疑者 | (仮面の中で)知らねえって言ってるだろう、さっきから!! |
| 容疑者H | ヘヘっ、教えてやるよ…… |