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●警察・取り調べ室

 
---時は、西暦二〇五〇年のことである。

机と椅子だけが置かれた取調室。
容疑者のまわりを、美人でセクシーな女刑事がコツコツと歩きながら、
女刑事そう……。どうしてもシラを切る気ね?
容疑者知らねえもんは、知らねえな。さっきからそう言ってるだろ?
コンコン。ドアがノックされ、白衣姿の鑑識係が顔を出す。
鑑識係例の装置を持って参りました。
女刑事ご苦労さま。
一台のワゴンに乗った謎の機器群。鑑識係がガラガラと運び込む。
容疑者(横目でチラッと見て)何だよ、それ?(少し不安)
鑑識係が手にしたのは、バスケットボールを二つに開いたような機械。
それを、容疑者の頭の上からスッポリかぶせ、
容疑者や……やめろっ……!
鑑識係ハイ、動かない動かない。(と、バチッと顔の前で留める)


1


 
容疑者の顔は「仮面」をつけられたように、完全に隠れてしまった。
容疑者(仮面の中で)て……てめえら何する気だ?
女刑事それはね、「思考スキャナー」っていう最新のウソ発見器よ。思考--つまり頭の中
で考えたことを調べる機械なの。その仮面が、あなたの脳の変化を、読み取るわけ。
容疑者(仮面の中で)脳を……読み取る?
鑑識係そのデータをこの「思考ホログラフィー」に送れば、君が頭の中で考えていることが
全部、立体映像になるんだ。
鑑識係、ワゴンに乗った機器の電源を、オンに。
容疑者(仮面の中で)立体映像? ケッ、ふざけんな。
グォン、という低い音がして、表示ランプが灯る。と、突然ワゴンの機器から
光線が出て、取り調べ室の一角に「立体映像」を映し出す。
それは、容疑者本人の姿。顔も声も本人とまったく変わらない、容疑者H。
 ※以降、立体映像として登場する人物は、本物と区別する
ために、ホログラフィーの頭文字「H」を加えて表記。
容疑者H(ボーッとして)……?


2


女刑事(見て)……出たわ。
鑑識係フフフ、出ましたね。
容疑者……?
容疑者Hワケわかんないな……。税金で変な機械買うなよ、おまえら。
女刑事税金も払ってないヤツに、言われたくないわよ。
ドスッ。女刑事、容疑者の腹を蹴り上げる。
容疑者(仮面の中で)あイタッ……。すまん、実はもう半年も住民税滞納してて……え?
と、容疑者Hが困った顔になって、
容疑者H……あ。頭ン中で考えたことが……どうしてわかったんだ?
女刑事言ったでしょ? 読み取るって。あなたの思考が、口をすべらせてるのよ。
容疑者(仮面の中で)嘘つけ!! 俺にはちっとも、聞こえないぞ!!
鑑識係思考スキャナーをつけた本人には、立体映像の音声は聞こえないようになっている。
聞こえると自分の思考をコントロールしちゃうからね。
容疑者、堂々とした態度で、
容疑者(仮面の中で)けっ……騙されねえぞ、そんな脅しには。
だが、容疑者Hは結構動揺していて、
容疑者H本当か……? いや、まさかな……。もしホントだとしたら全部バレちまう……。


3


女刑事さーて、もう一度聞くわよ。あの女を殺したのは、あなたね?
容疑者(仮面の中で)あの女? あの女って誰だ?。知らねえなあ。
容疑者Hあの女っていえぱ、この女のことだろ?
ワゴンの機器からホログラフィー光線が出て、容疑者Hの隣に何かを映す。
それはなんと、被害者の女の立体映像。
被害者の女H……? (ポーッとしている)
女刑事と鑑識係、ぷぷぷっと、笑いをこらえて、
女刑事で……凶器は?
容疑者(仮面の中で)……凶器? さあ、なんの話だろうな、知らねえな。
容疑者Hこれのことだろう? 凶器って。
と、容疑者H、胸のポケットから拳銃を出す。
女刑事と鑑識係、ぷぷぷぷぷっと、必死に笑いをこらえて、
女刑事……どうやったの? どうやって殺したの?
容疑者(仮面の中で)知らねえって言ってるだろう、さっきから!!
容疑者Hヘヘっ、教えてやるよ……
と、容疑者H、被害者の女Hに銃口を向ける。
女刑事と鑑識係、今度は真剣な目で立体映像を見つめる。


4


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