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ヤスオあーつ!!
高木あ……ああっ……
三郎ふん!!(と、出ていく)
バターン。ドアを閉め、大きな足音をたてて階段を駆け降りる音が響く。
ヤスオと高木、呆然している。
ヤスオ……。
高木……。
シーン。長い間。
---が、顔を見合わせて、突然笑いだす。二人。
ヤスオイヤーはっはっは。ラッキーだったなー、まったく。
ヤスオ、AV機器に駆け寄る。
高木くっくっく、助かったなー、古い機械しか壊されなくて。
と、床に落ちた機械を眺める。
ヤスオまいったな、父さんには。……ま、言ってることは、一理あるけど。
高木そうだな。メディアもここまで進化すると、なあ。
ヤスオあんまりハマんないようにしなくっちゃ。
高木うん。あんまりハマるとやばいよ、ホント。


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ヤスオじゃ、ハマんないように……やる?
高木だな。ハマんないように、やるか。
二人、バーチャル・ヘッドを頭にかぶる。

●テナントビル・外景

地下へ向かう階段「レンタルバーチャル・愛&YOU」の入口。
その前に、三郎がじっと立ち尽くしている。
「レンタルバーチャル・愛&YOU」の看板に「都合により閉店」の貼り紙。
三郎(大笑いして)イヤーはっはっは。ラッキーだったなー、まったく。……ん?
すぐ横のエレベーターに、「最新機材完備30分一万円・個室バーチャル」とい
う看板を発見する。……新規オープンの店だった。
三郎個室バーチャル? こ……こいつは助かった……。
三郎は、ポケットからディスクを一枚取り出す。ケースなしの中身だけ。
そして、エレベーターに乗り込む。

●ヤスオの部屋

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高木が、バーチャルの世界に入って、一人でクネクネ踊ってる。
ヤスオはその横で、床に散乱したソフトを拾って集めていたが、
ヤスオ(後唐美奈代のディスクを見て)おい、コレ中身がちがうぞ。
高木……ん? なに?
ヤスオパッケージは後唐美奈代だけど、中身は浅間出スル子のほうだ。
高木(クネクネしながら)どうゆうこと? ソレ。
ヤスオ父さんのヤツ、「味チチ揉んめ」はどっかに隠し持ってるん。だ。なんだよ!!
ヤスオ、ソフトを床に叩きつける。ガシャッ。
床で割れたディスク。そこに、三郎のモノローグ。
「その一年後、私の予言は的中した」
 
床のディスクから、カメラがゆっくり部屋全体を映し出す。
と、いつのまにか部屋中がメチャメチャに散乱していて---
全身バーチャル装備のまま、ヤスオと高木が、床に倒れている。
それは、一年後の二人の姿だった。
「ヤスオも高木くんも、バーチャルの世界に溺れ、現実に戻れなくなって死んだ。青いパパイ
ヤの香りを嗅ぎながら……」


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●赤い部屋
 
三郎の、幸せそうな寝顔。
だが、床につっぷしたまま動かない。
「……そして、私もバーチャルの世界で死んだ……。死因は、腹上死だった」
 
すぐ横で、後唐美奈代がトランプをシャッフルしている。
相変わらずマジシャンのような手さばき。
だが、シャッフルのスピードはいつもよりゆっくりで---、
「全国的に私たちのような病が蔓延していた。バーチャルがこの世から消えるのは、私が死ん
だ直後だった」
 
シャッフルする手、ピタッと止まり、
画面、ブラックになる。
 〔第二話・完〕


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