| ヤスオ | ……パパイヤだ。パパイヤが飛んで来た。 |
| 三郎 | パパイヤ? そんな南国の物が、どうして飛んでくるんだ? |
| ヤスオ | 『青いパパイヤ』ってゲームだからじゃないか……あっ!!(と、また身をかわす) |
| 三郎 | はっはっは、忙しいな。ところでヤスオ、そのスーツいくらするんだ? |
| ヤスオ | えーっと……百万ちょっと……かな? |
| 三郎 | (驚いて)百万?……百万もするのか? |
| ヤスオ | ああ、バイトして買ったんだ。バーチャルのためならしょうがないよ。だってホラ、 |
| 俺、マニアだもん。 | |
| 三郎 | 百万も出すのか、マニアってのは……。そうか百万か……百万もするのか……。 |
| ヤスオ | (足の動きがなり)う……っ!! |
| 三郎 | どうした? |
| ヤスオ | 急に山道になった。(手で宙をかきわけ)草が覆い茂ってるん。だ……はっ! |
| 三郎 | また、パパイヤか? |
| ヤスオ | ……ああ。危なかったよ……もうちょっとでゲームオーバーになるところ。だった。 |
| 三郎 | はっはっは、頑張れ百万円。(急に思い出し)……百万か……。 |
| ヤスオ | しつこいな、百万百万って。 |
| 三郎 | もちろん、そのヘルメットと靴もセットだよな? |
| ヤスオ | ヘルメットじゃないよ、バーチャルヘッドだよ。こっちはアクションシューズだよ。 |
| ま、セットもあるけどさ、セットじゃ駄目なんだよマニアは。メーカーとかこだわり | |
| があるし。 | |
| 三郎 | そういうもんなのか、マニアってのは……。そっちも結構高いのか? |
| ヤスオ | よっ(と、パパイヤから身をかわし)……ま、全部で三百万は使ったかな? |
| 三郎 | さ、三百万? |
| ヤスオ | なにせ俺……(と、言いながらもう一発軽くかわし)マニアだから。 |
| 三郎 | いくらマニア。だからっておまえ…… |
| ヤスオ | 車だ……。 |
| 三郎 | ……車? |
| ヤスオ | 古い車だなあ。……二十世紀の車かもしれない。(決心して)乗ってみるよ。 |
| 三郎の声 | 大丈夫か? 二十世紀だったら自動運転じゃないぞ。ハンドル握るヤツだろ? |
| ヤスオ | 大丈夫。……なあ父さん、高木知ってるだろ? あいつさー、中古車マニアなんだ。 |
| こーゆー車持ってて、俺もときどき運転させてもらうんだよ。えーっと…… | |
| 三郎の声 | あっ、それはそうとなヤスオ。父さん……いいもの持ってるんだ。 |
| ヤスオ | 何? いいものって |
| 三郎 | 駅前のレンタル屋行ってみたんだ、バーチャルの。 |
| ヤスオ | ヘー。(と、ギアを入れるアクション) |
| 三郎 | で、さっそく最新のソフト借りてきた。 |
| ヤスオ | よーし。走りだしたぞォ。 |
| 三郎 | そうか、走りだしたか。(ポケットから出して)コレだ。コレを借りて来た。 |
| ヤスオ | (が、ゲームの世界に反応し)おおっ!! |
| ヤスオ | すっげえな……。 |
| 三郎の声 | そうか、すごいか? |
| ヤスオ | すげえスピードだよ……。 |
| 三郎 | スピードもすごいか、そうか……え? スピード? |
| ヤスオ | 遠いんだって!!メチャメチャ速いんだ!! |