| オレンジ | (ニコニコ)……。 |
| ワタル | ……? |
| 黒木 | だーれだ。 |
| ワタル | あ……(と頬を手で抑える) |
| 黒木 | ねえ。これからウチに来ない?何かごちそうするけど。 |
| ワタル | ホ、ホント? |
| 黒木 | 何食べたい? |
| ワタル | な……何でもいいよ。 |
| ワタル | あ…オムレツ以外。 |
| 黒木の声 | (先行して)えっ?処分方法? |
| ワタル | (暗い表情で)うん…… |
| 黒木 | やだ、説明書読んでないの?背中のスイッチをオフにして清掃局に連絡する。 |
| ……それだけよ。 | |
| ワタル | 清掃局? |
| 黒木 | アンドロイドの回収は清掃局の仕事なの。電話一本で来てくれるわ。 |
| ワタル | (立ち止まって)それじゃまるで粗大ゴミじゃないか!! |
| 黒木 | そうよ。(立ち止まり、クールに)不要になった機械は、全部粗大ゴミよ。 |
| ワタル | そ、そんな……。 |
| 黒木 | これも脱明書に書いてあることだけど。電源を切れば、アンドロイドの記憶はす |
| べてリセットされるのよ。あなたの顔も名前も全部消去されて、何もかも忘れて | |
| 元のろう人形に戻るの。少しは楽な気持ちになれるでしょ? | |
| ワタル | 僕には……やっぱり(首を横に振って)出来ない。 |
| 黒木 | (立ち止まり、振り返る)どうして? |
| ワタル | 拾てる側の記憶---僕の記憶は、誰にも消去できないじゃないか。 |
| 黒木 | え? |
| ワタル | ……。 |
| 黒木 | そうね。人間の背中には……スイッチがないからね。 |
| ワタル | ……。 |
| オレンジ | (キョトンとして)? |