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「こうして、僕とオレンジのスイートな生活が始まった」
 
以降、音楽で綴る二人の生活(次第に月日が過ぎてゆく)

●同・キッチン

 
台所に立った、オレンジ。
ソッと近づくワタル……。
なんと、オレンジが料理を作っていた!?
器用な手つきで卵を割り、フライパンにのせる。

「僕は毎日、彼女の新たな一面を発見し――」

●同・リビング

 
テーブルに座った、ワタル。
目の前にオレンジが作った、半円形で形のいいオムレツがある。
そしてその向こうに、頬杖をついたオレンジのニコニコした顔。
「毎日、無償の愛に包まれた」


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オムレツを口に運ぶワタル。
うまい!!と伝えると、オレンジは得意気な顔でピースをしてみせる。

●ラーメン屋(一ヵ月後)

 
スポーツ新聞のアップ。『清原、悲願の巨人軍監督就任』との見出し。
新聞を読んでいるのは、暇そうなラーメン屋の主人。
カラカラッと扉を開く音を聞き、
主人(顔をあげ)いらっしゃい。
店員(奥から出てきて)らっしゃ−い。
仲睦まじいワタルとオレンジが現れ、カウンター席へ。
店員(水を出して)何にいたしましょう。
ワタルえ−っと(壁のメニューを眺め)……チャーシューメン。
店員(主人に)チャーシューメンいっちよー。
主人はいよ。チャーシューメンね(と麺を茹ではじめる)
店員(オレンジに)そちらは?


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オレンジ
ワタル……あ。ひとつでいいッス、ひとつで。
店員(怪訝な顔)はい?
ワタル実はですね、こいつ……アンドロイドなもんで。
店員えつ。
主人……え?それも?
主人、近づき、オレンジをマジマジと見る。
主人へーっ。実はね(店員を指さし)コイツもそうなんスよ。
店員(なぜか照れる)
ワタルえっ……?
見ると、店員の帽子には穴が開いており、そこからプロペラが出ている。
かなりハイスピードで回転している、店員のプロペラ。
主人店員型アンドロイドでね、ラーメン屋専用ロムカード使ってるんス。
ワタル(プロペラからやっと目を外し)……あ、そういうのもあるんスか。
主人リースだとホラ、人間雇うより全然安いでしょう。新型じゃなけりゃ食事も休憩
もいらないしね。
ワタル多いんですか?アンドロイド雇う店って。


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主人近頃はファーストフードや牛丼屋なんか全部そうだな。あと新宿の地下街で偽造
テレカ売ってる連中ありゃ全部アンドロイドだってさ。ほいチャーシューメン。
店員、そのどんぶりを受けると、プロペラをぎゅんぎゅん高速回転。
店員お待たせいたしましたっ。チャーシューメンです(とワタルの前へ)
ワタル(プロペラ目線のまま)あ……どうも。
箸を割り、食べ始めるワタル。
頬杖をついたオレンジが、見ている。
オレンジ(突然)おいしい?
ワタル(食べながら)ん?
オレンジどお?おいしい?
ワタル……。
ワタル、オレンジの耳元へ。主人に聞こえぬ小声で何か囁く。
ワタル(ボソボソッ)
オレンジ(大声で)まずい?
ワタル(びっくり)!!
主人(振り返り、怖い顔)あ?
ワタルあ、イヤ……。


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