Top
<<>>
12・3・456789


 
買い物に満足したワタル、オレンジに歩み寄る。
黒木本体価格が特別提供価格の二百万円。こちらに消費税が……45%つきますので。
(笑って)いやですね本当、今年からまた上がっちゃって。
ワタルがオレンジを眺めている。――と、
オレンジ愛してるわ。
ワタル(ドキッ)
黒木……あ。
黒木がクスクス笑いだす。赤くなる、ワタル。

●公園(翌日)

 
静かな公園。そこに、ワタルのモノローグ―――、
「僕はさっそく恋人型アンドロイド・オレンジを連れて公園へ出かけた」
 
ワタル、ベンチに座り、遠くを見つめている。
と、手が伸びて、ワタルの目をふさぐ。
それは、オレンジの手。
オレンジだーれだ?


9


「……一人でたそがれていたら、突然オレンジが「だーれだ」を始めた。そうするように
プリセットされているのだ」
 
ワタル、ニヤニヤして、
ワタル誰だろうなー?
オレンジうふふ。
ワタル(目隠しの手を外し)オレンジだな?
オレンジきゃあ(と驚く)
逃げる、オレンジ。追う、ワタル。
ワタルつかまえた(と抱きつこうとするが)
オレンジあはははっ(と逃げて行く)
二人、追いかけっこを始める。
木陰で、学生服を着た真面目そうな男が読書をしている。
その前をキャッキャと通り過ぎる、オレンジとワタル。
学生服(二人の姿を目で追って)……。
やがて、愛の追いかけっこ、スローモションになって―――。
しなやかに動くオレンジの手足。


10


 
ワタルのモノローグで、
「人工筋肉を備えたオレンジの動きは、人間とまったく変わらない。いつのまにか僕は、
彼女がアンドロイドであることを忘れていた」

 
追いかけっこを終えた二人。
熱い眼差しで見つめる、ワタル。
ワタル(オレンジを見つめて)……。
オレンジ(と、その視線に反応して)……愛してるわ、ワタル(と、にっこり)
ワタル(嬉しそう)……(恥ずかしそうに)僕もだよ……オレンジ。
オレンジ(さらにその言葉に反応し)私の方が、いっぱい愛してるわ。
ワタル(照れながらも思い切って)ぼ……僕のほうがいっぱいさっ。
オレンジ(楽しそうに)私よー。
ワタル(鼻の穴をひろげて)僕だよっ。
オレンジ(可愛く)あたしっ。
ワタル(でかい声で)僕だーっ!! はははっ(と、笑う)
オレンジ(笑って)あた……ぷぷっ(と吹きだす)
二人は、声を出して笑う。


11


 
その様子を木陰から覗く、学生服の男。
学生服(うらやましそうな顔で)いいなあ、アレ……。ほしーい。
に、まるでセールスするような黒木の声が、
黒木の声(先行して)いかがです?お客様。

●アンドロイドを売る店(夜)

 
店の、デスク。受話器にむかう黒木。
黒木何か問題がありましたら、いつでもお話ください。

●ワタルの部屋・リビング(夜)

 
ワタルが暮らす、マンション。ソファで電話をしていたワタル。
ワタル(電話口に)あ……はい、それじゃ。
受話器を置く。
置いたその手を、隣に座っていたオレンジの肩へ。
寄り添って、テレビを見る二人。そこに、ワタルのモノローグで、


12


<<>>
12・3・456789