7月26日(土)晴れ
岡田君の涙も、麗奈ちゃんの涙も、せつなくて苦しくてつらくて、胸が締めつけられた。
(紹介している写真は暗くてよく見えないかも知れませんが、芝居が終わった直後の、涙を拭っている二人なのです。とてもいとおしいキュッーってしたくなる)
「さみしい」こんな言葉を監督が言う。「さみしいね」私もその言葉しか出てこなかった。
本日はクライマックスの場面。出ていった幹が、鮮の誕生日の日に帰ってきて、今日を最後にもう逢うことはないだろうとお互い感じながら、二人は初めて結ばれる。というシーン。
「さみしい」「さみしいね」「あーさみしい」「ほんまさみしいな」「さみしいっすよ」「さみしぃよぉ」「んーさみしいなっ」「なんでこんなにさみしぃかなぁ」本当にこんな言葉しか出てこなかった。そして、この言葉をかわす以外の会話はなかった。私と監督の「さみしい」の感覚は少し違っていたが、二人とも「さみしい」の言葉しか出てこなかった。
監督を「さみしい」くさせたのは、主演二人の大きな成長にある。初日から数えて24日目、残り2シーン今日の場面とタイトルバック以外を撮りきった二人は鮮と幹になりきっていた。岡田君も麗奈ちゃんも芝居に関しての演出指導は現場で一切なかった。というより、する必要が全くないほどの完璧な仕上がりで、監督としての出る幕がなかったからである。
私を「さみしい」くさせるのは、この熱い現場が終わってしまうことである。「ア・ルース・ボーイ」という作品の名の下に集まってきた、役者さんやスタッフのみんなが、明日を終えると、別の作品のもとに行ってしまうからである。手塩にかけて育ててきた娘を、どこぞの知らぬ男に取られる心境みたい。(娘を嫁に出した事ないから本当の気持ちは分からないけど)他の女が俺を必要としている、と彼氏に去って行かれる心境みたいな。(経験あり)
「さみしい」一日だった。
その夜、芝居場のシーンをすべて取り終えたので、私の部屋で監督とワインをあけることにした。岡田君も部屋にきた。二人はなんだかポーォとした表情でゆっくりと呑んでいるが、殆ど会話はしない。私は二人の姿をデジカメにおさめると、たった一杯のワインに程良い酔いを感じながら、またこの二人と映画をつくりたいなと思った。
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